ロッテから学ぶ球団とファンのあり方

kayokotan2005-03-31

開幕で相手にしたもうひとつの敵 ロッテから学ぶ球団とファンのあり方


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楽天イーグルス千葉ロッテマリーンズの間で行われた開幕2連戦。楽天プロ野球公式戦のデビューを勝利で飾ったものの、2戦目では投手陣が崩壊し大敗を喫した。この2試合で楽天ナインは、相手チームのほかにもうひとつの敵を相手にしなければならなかった。
 
 プロ野球の応援といえば、トランペットなどの「鳴り物」にメガホンという光景を思い浮かべるだろう。しかしロッテファンの応援は、それとは異なり、声援を主体として、ファンが一体となって選手を後押しするのだ。これではビジターに乗り込んだ楽天としてみれば、たまったものではない。
 
「うちのチームの応援団は、12球団の中でも一番ですよ」。ロッテ企画広報部の高瀬智弘さんは、自信たっぷりに語る。「球団と応援団のやりたいことは、ある程度対立するもの。そういう時は、徹底的に議論してお互いの気持ちを近づけるんです」。高瀬さんは応援やイベントに用いられる楽曲の一つ一つまで、ファンと話し合って決めるのだという。チームのそうした真摯な態度に対してファンが返した言葉は、試合前に掲げられた巨大な横断幕に記された「MARINES IS MY LIFE」=写真。「マリーンズこそわが人生」である。
 
 ロッテファンが陣取る一塁側外野席から発せられる統率の取れた応援は、機を見て敏なり、との言葉どおり、時にナインを鼓舞し、時に相手チーム選手を萎縮させる。彼らはナインと共に試合を戦うのである。自軍のチャンスと見れば「レッツ・ゴー・マリンズー」と太鼓に合わせて連呼する。相手チームの投手がけん制球を投げて間合いを外そうものなら、大ブーイングの嵐だ。一度などはイーグルスのエース岩隈が、このブーイングに気圧されたか、けん制後の投球時にバランスを崩してマウンドにひざをついてしまったほどだ。応援がどれだけ試合に影響を与えるか、この一事を見てもよくわかる。
 
 では楽天の応援を見てみると、すでにチームがラッパや笛などの鳴り物を原則禁止にするなど、独自の応援スタイルを築き上げる方向で動いている。これから本拠地での試合が行われる中でこうした動きがファンに浸透し、またそれに手が加えられる中で、ファンとチームが一体化した「心からの応援」と呼べるものが徐々につくり上げられていくことだろう。その過程においては、ぜひロッテの良いところを見習って、チームとファンそれぞれに対話を重視してほしい。両者の協力的な関係なくしては、「いい応援」は形成され得ない。ファンの応援が、チームの大きな“武器”であることを考えれば、チームの成長にとって、ファンの果たす役割はとてつもなく大きいのだ。
 
 26 日の試合で川口憲史選手が「このスタジアムの雰囲気は最高です」と口にしたが、生まれたてのフルキャストスタジアム宮城にも「最高のスタジアム」となるチャンスは十分すぎるほどにある。4月1日の本拠地開幕戦から始まる新しい歴史を、ファンとチームが一丸となって築き上げていこうではないか。
 
【山内大輔】
 
[ 2005年3月31日 インフォシーク ]